耳の良い兄が聴診器で金庫を開けてしまった話

皆さんの周囲には、何らかの特技を持っている人はいるでしょうか?例えばそれは、「子供のころ身に付けた、上手にけん玉を操ること」とか、「そろばん教室で習得した、暗算の技術」だったりと、ちょっとしたことでもいいのです。何か人とは少し違った「特技」を持っている人を、私は本当にうらやましいなと思うのです。
自分にも何か人に対して少しでも胸を張れるような、特別な技を持っていればよかったのですが、あいにくと私自身は「普通」とか「一般的」という言葉がとても似合ってしまうようなタイプです。そのためか、何かの特技を持っている人に対して、何時しか羨望にも似た感情を抱くようになっていました。

k_040ちなみに、私の家族の中にもこの特技を持った者がいます。それは3歳年上の兄なのですが、彼は物凄く耳が良いらしく、ちょっとした音の変化から対象の状態を類推することが出来るのです。
以前、祖父の家にあった古い金庫の暗証番号が分からなくなってしまって困っていたところを、兄が解決したことがあります。祖父の窮状を知った兄が、どこからか聴診器を借りてきてそれを件の金庫に押し当て、自身の耳でダイヤルを回す音を聞きながら開錠してしまったのです。
これには家族全員が驚きました。耳が良いとは思っていましたが、まさかこんな風に金庫の専門家の真似事まで出来るとは誰も想像していませんでした。

話の冒頭にお話しした通り、私には何も特技は無いのに、同じ血を分けている兄には「耳の良さ」という特殊な能力がある。どうして兄妹なのに、持っている能力が違うんだろうと私は思ったのです。